旬のページ 2005年11月

12月5日(月)

春の仕込み開始

ずいぶんお久しぶりでございます。


忙しかった…


まだまだシクラメンの出荷は途中なのですが(というかピークなのですが)、
ようやくちょっと手が空いてきました。


今日から春の仕込み作業が再開しました。
”ヒペリカム ゴールドフォーム”の挿し木を始めました。

出荷作業の無い日は挿し木をします。
3日に1日くらいは作業出来そうです。


小関園芸で生産する植物は、作る期間が長いものばかりです。
当然夏頃から準備するものもあります。
今日挿し木を始めたヒペリカムは、来年5月頃出荷予定のものです。

その後の作業もしっかり決まっています。
あとは予定通りに作業が進むかどうか…

これが一番重要です。

遅れると…   全てが遅れます。

作るのに手を抜くわけにはいかないので、その場合は生産量を減らします。

減らした植物に限って、注文がいっぱいあって、完売します。
もっと作っておけば良かった… と、後の祭りです。

ちゃんと計画を立てて作業しましょう!



シクラメンの出荷シーズンは特に、頭の中はシクラメンでいっぱいです。
この時期限定でお客様と対面販売もします。 精神的に疲れます。

それでも”小関園芸を経営する”ためには、来年の春の植物の事、来年の秋の事、
そして1年後、5年後の事も同時に考えなければなりません。

当たり前のことですが、大変です。


何年か前、まだ経営について何もしなくても良かった頃、この時期はシクラメンだけを考えていました。

それはそれで大変だったのですが(何も知らなかったので)、ある意味幸せでした。


今?

疲れますが、充実しています。 楽しい仕事です。

仕事が楽しければ、疲れも半減します。




さあ明日はミニシクラメンの出荷を終日やります。
がんばるぞー!


12月6日(火)

大雪

小関園芸のあるこの地方にしては、季節はずれの大雪が降りました。



自宅前。しっかり積もってます。

小関園芸の観測では、10cmでした。



畑も真っ白。



屋根の上にも。



大変なのはやっぱりハウス。

鉄骨ハウスは丈夫なのですが、パイプハウスは雪の重みで潰れる事があります。

だから、昨夜は暖房を強めにして、雪をとかしました。
このハウスはすっかり雪が溶けました。



特に問題なのはつながったハウス。谷の部分にどうしても雪が残ります。


以前も紹介したように、雪対策として補強を入れます。
でも油断すると潰れます。

仲間の生産者から電話があって、ハウスが潰れてしまったと言ってました。

同じシクラメン生産者で、出荷がピークのシクラメンもいくつかダメになったらしいです。


私たちハウス生産者にとって、夏の台風も大変ですが、
冬の雪も驚異です。 昨夜もあまり眠れませんでした。



今回は本当に季節はずれの大雪でした。
(大雪といっても10cmでしたが…)

この地方は、冬寒いわりに雪が少ない所です。
10cmレベルの雪は2年に1回くらいしか降りません。

しかも1月か2月頃降ります。 12月の大雪は、過去5年にありません。



出荷作業をしなければなりませんでしたが、まずは雪かきをしました。

ミニシクラメンの出荷は無事終了しましたが、大変な仕事が増えてしまいました。


自然と闘いながらする仕事とはいえ、その日ばかりは嫌になります。


12月10日(土)〜

葉組みをしよう! その1

先日の大雪、岐阜県内各地では被害がいっぱいあったらしい…

同業者では、何件かの生産者仲間のハウスが潰れたと聞きました。

うちの隣に行っている電話線も垂れ下がっていました。
NTTに電話しても繋がらず、午後3時にようやく連絡。
復旧工事は翌日昼くらいになりました。


小関園芸は被害なしでしたが、多くの方が大変な目にあいました。
自然の恐ろしさを感じました。



さて今回の企画ですが、”葉組み(はぐみ)”です。

シクラメンの事を書いた園芸の本、シクラメンについてのサイトを見ても
この”葉組み”という言葉が出てきます。

シクラメン作りにかかせない作業”葉組み”

シクラメン生産者ならほとんどが行う作業”葉組み”。(ガーデニング用シクラメン除く)

シクラメンの出来を左右してしまう作業”葉組み”


”葉組み”を説明しているサイト(本)もありますが、説明するのがとても難しい内容なので、
消費者が理解出来ているのか疑問に思います。

みなさんにもしっかり理解していただいて、きれいなシクラメンを長くたのしんでもらいたい、
その思いから

”葉組みをしよう!”

という企画をこのページでします。
(1日では書ききれないので、分けていきます)

完成後はこの企画を、シクラメンのページに取り込んでいきたいと思います。


さて”その1”ですが、花が咲く前の”葉組み”です。


まず基礎講座です。

”葉組み”作業の理由を簡単に説明します。

ひとつは”株の真ん中を空けて花を中心に持ってくる事”です。



お店で見かけるシクラメン。 こんな風に真ん中から花が咲いています。
高価なものは株がドーム形になっていて、その中央からそろって花が上がっています。

じつはこれ、半分は人工的に作られた形なのです。

シクラメンの”夏越し”をしたことがある人は分かると思いますが、
何も手入れせず育てていくと、



こんな感じに葉っぱとツボミが一緒に出てきます。

これをそのままにしておくと…



こんな感じに花が色んな所から出てきます。

正確には花だけが出てくる訳でなく、葉っぱも真ん中から出てくるからこうなるのです。

咲く前の肥料コントロールで花を中央に集める事も出来ますが、プロだけの技になります。


こんな咲き方も自然といえば自然なので、最近は良いという人もいますが、
真ん中に集まっていた方がきれいに見えるという意見が一般的です。
(価値観の違いでしょうか…)



手をかけないと、こんな風に花は咲きません。
これが1つ目。

2つ目は、株の真ん中を空け光をツボミに当てます。
そうすると元気な花が咲きます。

3つ目は、真ん中を空ける際に葉の茂り方を整える事です。
花が揃っていても、葉がバラバラでは不格好になってしまいます。


この3つが揃って、しかも丈夫で長持ちするシクラメンが、
”良いシクラメン”と呼べるのです。



実際にやってみましょう!



株の中心部分(○のところ)を空けていきます。

真ん中にある葉っぱを移動させるのですが、



まずはこのような、新しい葉っぱを移動させます。

中心にあるものは、たいていこのような葉っぱです。



古い葉っぱはこんな色、形をしています。
触った感じもゴワゴワしています。

この古い葉っぱは、後で移動させます。




移動する前に、中心からこのように手で株を広げてみます。



よく見てみると、○の部分の葉っぱ同士が(たまに花とも)交差しています。

交差していると、上に乗っている葉はどうしても上に向いてしまいます。

交差しないように動かすのがポイントです。

ためしに



この場所でやってみます。

交差している一番上の葉を

  

と、移動し、さらに

  

このように一番下まで移動させます。

一番下まで移動する時、せっかく交差を外したのに他の葉っぱ(花)に
再び交差させないように、生え際に沿って行うのがポイントです。

この作業を、交差している葉っぱがなくなるまで繰り返します。


大輪系のシクラメンでしたら、葉の数がそれほど多くなく、茎も太くて丈夫なので、
よほどの大株でない限りそこまで大変ではないでしょう。

ただ”ミニシクラメン”のように葉の数が多い品種に関しては、移動の回数が増えるので
大変でしょう。

特に”ミニシクラメン”の6号鉢のように、株がかなり大きいものを”葉組み”する場合は、
かなり”気合い”を入れて行ってください。

初心者だと30分くらいかかるかもしれません。



さて出来ました。 ほとんど交差する葉は見あたりません。

 

以前の様子と比べてみます。
左が処理後、右が処理前です。

ずいぶん葉っぱによって隠されていたツボミが出現しました。


ほんとうなら、ツボミがもっと小さいうちに行いましょう。

今回は写真を撮り忘れたので、ツボミが大きくなったもので行いました。


移動はしたのですが、どうもきれいに見えません。



この部分の葉っぱがちょっと目障りです。

この葉っぱを放っておくと、2〜3日で真ん中に戻ってしまい
ツボミをかくしてしまいます。

せっかくの葉組みの意味が無くなってしまいます。

そこで、この葉っぱをさらに移動させます。

  

さっきと同じ方法で、生え際に沿って移動させていきます。

 

最初に移動した葉っぱは新しいものだったので、たいていは古い葉っぱが上に残ります。

この古い葉っぱを移動させていくのです。



下まで来た葉っぱは、このようにさらに下に引っ張ります。

ちょうど鉢を巻き込むようにして下さい。



完成です!

あれだけバラバラだったツボミが揃って見えます。

葉っぱも何となく整って見えます。

この葉っぱも、2〜3日したらより整って、きれいになります。

  

比較してみます。
左が葉組み後、真ん中は途中、右は葉組み前です。


何度も言いますが、葉組みしたすぐ後はちょっとくずれて見えます。
ですが2〜3日するとだんだん整ってきて、
1週間後には花と葉っぱがちゃんと分かれているように見えます。


その後ですが、ツボミは開花に向かいます。

それと同時に、葉っぱの子供も成育してきますので、
さらに新しい葉っぱが花の周りを埋め始めるでしょう。

「せっかく葉組みしたのに戻ってしまった!」
わけではなく、生育した証です。
(しっかりと葉組みした場合に限りますが…)


温度や肥料の状態によって違いますが、花が満開になる頃には
次のツボミが横から出たり、新しい葉っぱが中心から出たりします。

その時はもう一度葉組みをするのですが、その方法は”その2”で紹介します。

お楽しみに!


12月20日(火)

シクラメンの出荷、ほとんど終了

またまたお久しぶりで…
10日ぶりくらいに書きました。


言い訳は… しません。


このところよく雪が降ります。



昨日は近くの大都市”名古屋”でも雪が積もったそうで。
58年ぶりに記録を塗り替えたらしいです。

その時は、小関園芸のある地域の雪は少なく、助かりました。


6日の雪のほうがよっぽどひどかったです。


先日東京にいる友人と電話をしました。
雪の話題になったときその友人は、
「こっちも雪、降ってくれないかな…」
と言いました。

何て事を! こっちでは雪はもうたくさん!

仕事の違いもあるのですが、降らない地域の人にとって雪は、厄介な存在ではないらしいです。

今週末、また雪が降るらしいです… ため息が出ます…




さてさて、旬のページが更新出来なかった理由”シクラメン”の出荷が、終了に近付いてきました。

 

150坪の早いほうのハウスはもう空っぽです。

暖房用の燃料代が高いので、とっとと残りを移動させて暖房を切りました。

もう半分は掃除も終わりました。

 

100坪の遅いほうのハウスです。

半分側はほとんど空っぽ、もう半分にちょっと残っています。
多分全部で1000鉢あるかどうかでしょうか?

こちらのハウスも燃料代節約のため、半分の所で仕切をします。


ここまでくると安心します。


シクラメンは年末の花。

年を越してしまうと、値段が付かなくなってしまいます。
だから年内に売ってしまえるよう、花を咲かせます。

でも毎年、数百鉢は年を越します。
花が咲くのが遅い品種は、どうしても年内に咲かせられません。


11月、シクラメンの花が咲き始めた頃、
「今年は大丈夫かなー…」

と思います。

で、わけの分からないうちに今ぐらいになります。

ほっとします。

ほっとすると、毎年ここでカゼをひきます。

体はもうボロボロです。
精神的にも肉体的にも疲れ果てています。

しかも今年は、下の子がカゼで入院していて、病院へ行ってます。


今までは”気力”で何とかなったのですが、一度安心してしまうと”ガクッ”ときます。


とりあえず手洗い、うがいで何とかカゼをひかないようにしたいです。


12月21日(水)

エリが亡くなりました…

7月21日の旬のページで紹介した小関園芸の番犬”エリ”と”ギンタ”。

その”エリ”が、今日亡くなりました。

15才でした。 大往生です。

最近本当に元気がなく、エサもあまり食べてなかったので、
「この冬がヤマかな…」
と話していたところでした。


私が中学生だった頃、小関家にやってきました。
(年がバレますね)

それからずーっと、家族の一員でした。

2回子犬を出産して、”ギンタ”も子供です。
”ギンタ”の兄弟も近所や親戚の家にいます。


今日弔いをしてあげました。
さすがに涙が出てきました。


生あるものはいつかは死にます。
人間でも、犬でも、もちろん植物でも。

私は生あるものを育てる仕事をしています。
ですから、その”死”にも接する機会があります。

いくら植物とはいえ、大事に育てたのに枯れてしまった時は、ショックです。

でも、生命の大切さは知る事ができます。




弔いをするとき、上の娘にも見せてあげました。
そして命の大切さを教えました。

まだ3才ですから、ちゃんと理解したかどうかは定かではありませんが、
「そうか…」
と言って、涙ぐんでいました。

見せて良かったと思いました。


12月23日(金)

また降りました…



またどっさり降りました。

もう慣れたもので、被害は特にありません。


が、このところ宅配の荷物が多いのですが、宅急便が出せません。

というのも、近くの高速道路が通行止めだらけで、宅急便の荷物が動いていないようなのです。
へたすると、2〜3日は岐阜で足止めらしいです。
(小関園芸はクロネコさんに聞きました)

愛知県の高速道路は、ちょっとの雪ですぐ止めてしまいます。
「何とかしろよ!!」(怒)


被害、ありました。



ハウスとハウスの間には、万年雪のように溜まっています。

当然こちらも通行止めです。



雪が降ると、色々不都合があります。

北陸の方はもっと大変だとか…

暖冬だなんて、誰が言ったのでしょうか?


12月25日(日)

シクラメンの発芽

11月25日に種まきした”2006年用シクラメン”が発芽しました。

1ヶ月での発芽です。



今年の12月はとても寒かったのですが(今も寒いですが…)
ハウスの中は暖かいので、ほぼ例年通り発芽しました。



取り出しが遅くなると、このように”カイワレ”風に伸びてしまいます。

それもそのはず、真っ黒のビニールの下で発芽したので、光を求めてどんどん伸びます。


本当はもっと早く取り出すのがよいのですが、生え揃いが悪いといけないので…
(一箱に約130粒播きますが、7割くらい-90本くらいの発芽がないと取り出せません)

取り出しが遅れると、全部が”カイワレ”になってしまいます。


作業も毎日出来ませんし。(出荷もありますから)


でも今年の発芽はちょっと早いかも?


普通発芽は、早い品種と遅い品種とで差が出てきます。

ミニシクラメンやF1品種(ハイブリッド品種)は発芽が早く、大輪系固定品種は遅いです。

いつもは3回くらいに分けて、まずはミニシクラメン、次に… といった具合になります。


ですが今日、6割くらい出しました。



積んであった箱を並べていきます。

箱にはラベルが挿してあり、品種の番号が書いてあります。
次の作業がやりやすいように、同じ品種を集めます。



並べ終わったら、寒冷紗(かんれいしゃ)と呼ばれる布を被せます。
この寒冷紗、字の通り寒さを防ぐ用途に使われることもありますが、
小関園芸では主に日光を遮るために使います。

理由ですが、
今まで真っ暗な環境で発芽した苗にいきなり日差しを当てると、苗が焼けてしまうため、
まずは2重にした寒冷紗でちょっと暗めに、
次に1重にしてもうちょっと光を当て、
慣れてきたら寒冷紗を外します。

けっこう微妙なコントロールになってきます。


この状態でしばらくすると、まだ発芽していない種も発芽し、
最初の葉っぱ”子葉”が開いてきます。



こちら、まだ発芽が30%くらいの箱です。

まだ早いので、



もう一度積み直します。

暗い環境でもうちょっと発芽させます。

でも次の取り出しが遅れると、90%近く”カイワレ”状態になってしまいます。


こまめにチェックしなければなりません。



シクラメンの出荷がもう終わったと思ったら、もう次のシクラメンが待っています。

本当に休む暇なしです。


(載せて欲しくない時はそのように書いてください)


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